精子凍結が実施できる病院へ行こう
主治医の診察から数日後。
以前調整してた、精子凍結が実施できる病院への診察の日になった。
この病院も大学病院で、かなり大きい。
精子凍結は凍結させるための設備が必要で、近くの病院ではここしかなかった。
診察室に入ると、ぱっと見若い感じの先生とベテランそうな看護師さんがいた。
こんにちは。
meganeさんですね。
ではさっそくですが、最初に精子凍結をすることにした経緯について教えてください。
先日、大腸内視鏡検査で直腸ガンが見つかりました。
インターネットで調べたり、主治医の説明を聞くなかで、手術後の後遺症として性機能障害の可能性があることがわかりました。
仮に性機能障害が生じるとして、手術前にや手術後にできることがないか、本やインターネットで調べました。
調べた結果、精子凍結という方法にたどり着きました。
手術前に精子凍結をすれば、手術後に性機能障害が生じても、子供を授かる可能性が残せるということがわかりました。
それで、今、手術前のタイミングで精子凍結をやろうと思ってきました。
そうですか。
それでは精子凍結保存の目的や対象、精子凍結を実施する際の問題点について説明します。
まずは目的です。
これは病気の治療による造精機能障害が生じる前に精子を凍結保存することで、男性の妊孕性を温存することとなります。
妊孕性とは妊娠しやすさという意味です。
続いて、精子凍結を受けられる対象の方についてです。
対象は病気の治療により、精子を作る機能がなくなる恐れのある人ということになっています。
また、病気が治る見込みがあり、治療の意思がある人となります。
治療の意思がない人は実施できないのか・・・。
もちろん、私は治療してガンを克服するつもりでいますよ。
さて、精子凍結をするにあたって、問題点もありますので、説明します。
まず、精子が障害を受ける可能性があります。
例えば、凍結の際に多数の精子が死んでしまうとか弱ってしまうとか。
また、凍結して保存している機械の故障だったり、災害で保管ができなる場合もあります。
なるほど。
リスクもある保存方法なんですね。
精子凍結した精子を使用する場合は人工授精となります。
一度凍結された精子は自力で泳ぐ機能がないので、人工授精以外での授精はできません。
なお、人工授精をやるとなった場合は、奥様側の負担が大きくなりますので、よく相談してください。
ガンの治療で入院、手術となるとmeganeさんが奥様に支えてもらうことになると思いますが、人工授精となったら、今度は奥様を支えてあげてくださいね。
確かにそうだ。
妻にはこれからいっぱいお世話になるはずだから、「その時」になったら、支えなければ。
基本的に凍結した精子は病院で管理をします。
引っ越しなどでやむを得ず病院を変更する必要が生じた場合には、変更先の病院へ移送することができます。
凍結した精子を融解するわけにはいかないので、マイナス80℃のタンクを車で運ぶことになります。
ただし、この移送はご自身に移送していただくことになります。
自分の車でタンクを運ぶ・・・ちょっと予想外でビックリした。
実際にできるんだろうか・・・
直腸ガンから精子凍結に辿り着くのは非常にクレバー(利口)な対応です。
普通は病気のことで手一杯になってしまって、精子凍結まで自力で辿り着くのは珍しいです。
私としては、リスク回避のためにできることを探しただけだったが、正解だったらしい。
精子を採取しよう
さて、診察の後は精子採取だ。
さっきとは違う看護師さんがやってきた。
雑談をしながら、採取室というところへ行った。
案内してくれた看護師さんは不妊治療をしていて、人工授精で子供を授かったらしい。
私も人工授精を実施する可能性があるので、上手くいった事例は喜ばしいことだ。
採取室は3畳くらいの個室で、テーブルとテレビ、DVDの類があった。
テーブルの上には発泡スチロールの入れ物があり、中には採取セットが入っていた。
採取したら、発泡スチロールの入れ物ごと、指定の場所に提出してくださいね。
精子凍結はできた?
採取後しばらくして、再度診察室に入る。
先生から検査結果を教えてもらった。
採取した精子についてですが、問題ありません。
濃度も運動率も正常の範囲内です。
したがって、凍結できます。
採取した精子は10等分して、凍結しました。
あとは仮に性機能障害が生じたとしても、精子凍結以外にも方法はいろいろあります。
今後、不安なことやわからないことがあれば、相談してください。
ご自身のもことでも、奥様のことでも、私の名前を出して予約していただければ、対応できますので。
無事、精子凍結することができた。
先生も看護師さんもとても親切にしてくれた。
今後何かあっても、安心して相談できそうだ。
今できることは大体やりきったかな。
これで、心おきなく入院して手術に向かうことができそうだ。
【続く】
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